人に使われるのが嫌だ、
会社に縛られる生き方は自分には合わない、
という思いが募って独立を決意することがあるかもしれません。
今の給料は少なすぎる、自分のアイデアや人脈を使えばもっと稼げるはずだ、と思って起業の準備を始めるかもしれません。
いずれにしても、今置かれている環境から金銭的・精神的に豊かになるために事業を起こすのは間違いありません。
でも、その夢を叶えるためにはお金が必要です。
その必要額はいくらでしょうか?
全部自分のお金でまかなえるでしょうか?
大半の方は自分のお金では足りないと思います。
親類からの援助や、あなたの事業に対して出資をしてくれる人が出てくればお金の問題は解決しますが、なかなかそう上手くはいきません。
融資が必要となります。
ではいくら貸してくれるのでしょうか?
起業の時の融資額の見極め方について探っていきたいと思います
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自己資金がなくても融資が可能?

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制度融資を使うにしても日本政策金融公庫を使うにしても、自己資金がないと融資は難しいものとなります。
総投資額(起業・開業時に必要なお金の総額)の10%は自己資金がなくてはならないとか、自己資金と同額までしか融資はできないとか、入口で制限されてしまうことがほとんどです。
自治体によっては、自己資金要件を設けずに起業・開業の融資を扱ってくれるところもありますが、例外と考えていいレベルです。
なので、起業・開業の融資を受けようと考えているのならば自己資金は準備しておきましょう。
さらに言えば、独立したい、起業・開業するかもしれないと考えた瞬間から自己資金の準備をすることをお勧めします
自己資金と融資額の関係。上限金額とは
日本政策金融公庫を例にすると、制度の上限が7,200万円だからそこまで借りられる、上限が3,000万円だからそこまで借りられる、と考えている方が多いようです。
コンサルタントの人たちでもそのような誤った認識を持たれている方が多いようです。
実際に借りられるのは理由のある必要な金額までです。
無担保の場合には、必要な金額がどんなに大きくても借りられるのは1,000万円までです。
(中小企業経営力強化資金等の特殊な制度では1,000万円を超えられますが、ここでは誰もが利用できる起業・開業の融資制度の話をさせていただきます)
1,000万円を超えると本部への稟議が必要となります。
その手間を担当者が嫌がるので、貸せる案件ならば1,000万円以内で収めようとします。
なので、起業・開業の融資の場合には借入上限は1,000万円として、資金計画を立てていきましょう。
ちなみに、1,000万円だと上限を狙ってきたと思われる場合もあるので、多くても700万円~800万円あたりにしておくのが現実味のある金額となりそうです。
日本政策金融公庫の不動産担保融資
日本政策金融公庫でも、不動産の担保がある場合には、より大きな額の融資を受けられる可能性があります。
不動産担保の評価額プラス2,000万円です。
評価が出なくても2,000万円調達できる可能性が出てくるのです。
しかし、住宅ローンが残っていると評価が出なかったり、そもそも起業・開業ので2,000万円も3,000万円もかけるのはやりすぎだとの考え方が公庫にはあるので、審査は別の意味で厳しくなります。
特別なことをやるのでなければ、不動産担保があったとしても、起業・開業の時の融資は1,000万円以内にしておいた方が良いでしょう。
審査もスムーズにいきますし、万が一の際の被害も少なく抑えられますし。
制度融資を利用した場合の起業資金の融資上限金額
各自治体にもよりますが、自己資金と同額が融資の上限となります。
自己資金が100万円なら借入額は100万円、自己資金が500万円なら借入額は500万円といった具合です。
より多くの金額が必要であれば、制度融資と日本政策金融公庫との合わせ技でチャレンジする方法もあります。
準備する書類はそれぞれなので手間はかかりますが、調達額拡大の可能性は広がります。
民間金融(制度融資:銀行や信金・信組)と政府系金融(公庫)との協調融資案件として、審査判断にプラスの影響も与えます。
とはいえ、数千万円の申込みが通るはずもないので、現実的には、1,000万円から2,000万円規模の融資で足りるように資金計画を立てるようにしましょう。
自己資金を気にしない開業資金調達方法
上記で例外的なものとして、自治体によっては自己資金要件がないものもあると話しました。
自治体によっては、です。
これはどこでしょう。
裕福であり、国の政策に近しい政策をとる自治体です。
それは東京都です。
自己資金要件がなくて、金利も1%以下、信用保証協会もつかない、普通では考えられない制度です。
女性・若者・シニアでないと使えない、と制限はありますが、それ以上にメリットのある制度となっています。
東京都の「起業・開業のサポート事業」と呼ばれる制度です。
上限は運転資金・設備資金の合計で1,500万円とそれなりの金額です。
利用したいと思ったら、信金・信組の本店に電話をするか、取りまとめを行うNPO法人等に連絡を取るかのいずれかのアクションが必要となります。
どちらにしても、この時点で相応の完成度を誇る事業計画書・創業の計画書が必要となります。
事業計画書・起業・開業創業の計画書ができていないとセミナーに回されたり、まともに取り合ってくれなかったりで余計な時間がかかってしまうので、事前に計画書は準備しておきましょう。
東京都以外では使えないですが、もし東京で起業・開業のする際にはこちらも検討してみてください。
『自己資金なしで融資可能?起業資金の融資』のまとめ
起業・開業のの際の資金は設備資金も大事ですが、仕入資金や人件費・広告費等の経費の支払資金の確保が非常に大事になります。
いわゆる運転資金です。
手許にある資金量で戦略も違ってくるでしょうし、何よりもたくさんお金があることで精神的に楽になれます。
とはいえ、起業・開業の融資で運転資金を多く借りるのはなかなか難しいのが現実です。
起業・開業の融資に詳しい専門家のアドバイスを受けながら、借入申込の手続きを進めていくことが成功の近道となるでしょう。